ノーベル経済学賞受賞者が語る、幼児教育の重要性

 

先日のブログでもご紹介した本、「幼児教育の経済学」の著者であるノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授が、ビジネス雑誌「東洋経済」に「”幼児教育”が人生を変える、これだけの証拠」という記事を寄稿しています。

その中でヘックマン教授は次のように述べています。

「近年のさまざまな研究から、就学前の教育が最も効率的であることがわかってきた。脳科学の知見からも、学校に入ってからでなく、幼少期での働きかけが重要であることがわかっている。」

「幼少期の環境を豊かにすることが認知的スキル(IQテストや学力検査などによって測定される能力)と非認知的スキルの両方に影響を与え、学業や働きぶりや社会的行動に肯定的な結果をもたらすことが示された。」

「幼少期の介入は経済的効率性を促進し、生涯にわたる不平等を低減する。」

私たち親が子供の生涯学費を計算する際に、まずお金をかけるのは大学教育。小学校から私立に入れるのであれば大学よりも小学校の方が学費がかかるとも言われていますが、ヘックマン教授の話を読む限り、幼児期の教育は無視できないようです。

思春期よりも幼児期に教育投資をする方が効率的

 

またヘックマン教授は、思春期よりも幼児期の教育に投資をする方が、成人後の経済的成功に大きく影響すると言っています。

「幼少期の教育を上手に実行することは、大きな利益をもたらす可能性がある。(中略)実のところ、子供が成人後に成功するかどうかは幼少期の介入の質に大きく影響される。

「最終的な追跡調査(ペリー就学前プロジェクトでは40歳、アベセダリアンプロジェクトでは30歳)では、就学前教育を受けた子供は、受けなかった子供よりも学力検査の成績がよく、学歴が高く、特別支援教育の対象者が少なく、収入が多く、持ち家率が高く、生活保護受給率や逮捕者率が低かった。」

「幼少期に認知力や社会性や情動の各方面の能力を幅広く身に付けることは、その後の学習をより効率的にし、それによって学習することがより簡単になり、継続しやすくなる。」

「恵まれない環境で幼少期にきちんとした基礎的なスキルを育成しないままに思春期になってしまうと、状況を改善しようとする介入(公的な職業訓練プログラムや成人への教育プログラムなど)は、公平性と効率性の二律背反関係に直面してしまう。そして、思春期の介入は、経済的効率性の点から正当化するのが困難であり、一般に収益率が低い。」

「幼少期に投資を集中し、その後の投資でフォローアップすれば、公平性と効率性の両方を達成できるのだ。」

幼児期に受けた教育は、子供が成人した後の経済的成功に結びつくというのです。親としては、小学校受験をしないからといって、幼児教育での投資について無視できないのでは?と焦りました。次女はまだ1歳半ですが、長女は既に⒋歳で今年で5歳。私も何をさせたらいいかと悩みました。

どんな幼児教育をすれば良いのか?

 

それではどんな教育を幼児期にしたらよいのでしょうか?ヘックマン教授が実践した教育プログラムとは次のような内容です。

指導内容は子供の年齢と能力に応じて調整され、非認知的特質を育てることに重点を置いて、子供の自発性を大切にする活動を中心としていた。教師は子供が自分で考えた遊びを実践し、毎日復習するように促した。復習は集団で行い、子供たちに重要な社会的スキルを教えた。(中略)実験開始時の対象者の平均年齢は生後4.4カ月だった。プログラムは年間を通じて行われ、子供が8歳になるまで継続された。

ここで重要なのは、ヘックマン教授が実践したのは「子供の自発性を大切にする活動」であり、先生たちは「子供が自分で考えた遊びを実践」させたのです。日本の幼児教育も最近では、「育脳」とか「0歳児教育」という言葉がキーワードとなっているようですが、大事なのは、ヘックマン教授が実践したのは先生が知識を一方的に教え込む”インプット教育”ではないこと。フラッシュカードを見せて絵や文字を覚えさせたり、指示行動ができることを目指すことが、ヘックマン教授が言っている「幼児教育」ではないのです。ヘックマン教授が幼児教育でIQを高めること重要視しない理由は、幼児教育に高まったIQは、そのうちに消えてしまうからです。

「ペリー就学前プロジェクトの被験者になった子供は、当初はIQが高くなったが、その効果はしだいに薄れて、介入が終了して4年経つとすっかり消えた。」

日本の幼児教育は世界の中で遅れをとっていると言われています。私たちの子供たちに今、どんな教育が本当に必要なのかを見極め・与えることが、日本の新しい未来を作ることに繋がるのではないでしょうか。私も一人の親としてまだまだリサーチしている段階ですが、日本の未来のために、このブログを通して新しい有益な情報を皆さんともっともっと共有していきたいと思います。

Yoshimi Ueda // Tokyo