子ども達は本物のマテリアルを使うべき

レッジョアプローチの大きな特徴のひとつが、多種多様の素材を使ったアートプログラムです。レッジョ・エミリアアプローチのルーツにもなっている、世界の新教育運動をリードしたジョン・デューイ(John Dewey,1859-1952)はこう言っています。

Children learn from real work. Children need to use real materials. (子ども達は実際の体験から学ぶ。子ども達は本物のマテリアルを使うべきだ)

 

レッジョのプリスクールには必ずアトリエスタと呼ばれる美術専門の先生がおり、アトリエと呼ばれるアートスタジオがあります。そして子ども達が使うのはプロのアーティストが使うものと同様のクオリティ高いアートマテリアル。大きなキャンバスにいくつもの種類の筆、オイルパステルにチャコール・・・アトリエには子ども用のものではなくプロフェッショナル用の材料が並びます。

 

3歳の子どもに、プロフェッショナル用の材料なんてもったいないと思いましたか?なぜレッジョでは子ども用の材料よりも数倍も高い本物の材料を使うのでしょう。それは子ども達が持つ無限の可能性を制限しないようにするためです。例えば子ども用の筆だと、細部に渡って描くことができません。もし赤と青と黄色の絵の具しかなければ、子ども達が本当に表現したい色が出せません。子ども達が持つ素晴らしい能力を最大限に活かすために、レッジョアプローチでは本物の素材を使うのです。

 

Creating Colours and Forms with Water Droplets

私の子どもが通う学校では、なんと1枚20ドル(約2000円)もする上質の紙を使い子ども達は絵を描きます。子ども達の思考やアイデアは常に進化・変化します。

オイルパステルで描いた上に水彩をのせたり、色を混ぜあわせその変化を観察したり、他の紙を貼ってコラージュしたり・・・安い紙だと子ども達が自分の思考を試している途中で破れてしまいます。その結果、子ども達は自分のアイデアがどこに行き着くのかを見届けることができません。

1枚の紙を長く続けて使うことにより、子ども達は形の変化や色の混ざり合いなど、様々な過程を経験し発見を繰り返すことができるのです。
Mixing Water Coloursまたレッジョアプローチでは、木の枝や貝殻などの自然素材をたくさん使います。この理由については、また別の機会にお話していきます。

本物の素材は子どもの好奇心や探究心を高めます。そして様々なアートを通し、発想力や創造力、自分で考える力を伸ばすのです。

Mutsumi Paterson // Los Angeles

(ムツミ・パタソン/ロサンゼルス)