前編に引き続き、「ディズニー流 感動を生む企画の秘密」の著者・大畠崇央さんにインタビューをしました。後編では、ディズニー流「プロデュース力」を養う方法についてお話を伺いました。

ディズニー流プロデュースは、最初に「ストーリー」を生み出す

子供たちに将来必要となる「プロデュース力」ですが、大畠さんは、ディズニー流プロデュースが一般的なプロデュースと根本的に違う点を教えてくれました。

プロデューサーが作る仕事(プロジェクト)は一般的には、

「PDCA」
⇨Plan(企画を立てる)
⇨Do(実際にやってみる)
⇨Check(検証する)
⇨Act(改善する)

を繰り返しで進めていきます。しかし、ディズニー流プロデュースは、ただプロジェクトを企画するのではなく、まず「ストーリー」を生み出し、そこからプロジェクトのアイディアが生まれます。プロデューサーは皆、発想力に富んでいます。

これは映画に限らず全ての商品の話です。ディズニーはストーリーが必要でないはずのマーチャンやコンテンツでさえ、まずはストーリーから始まります。商品に独自の“世界観”を与えるのです。

これを反映して、ディズニーのチームでは、PDCAの代わりに「STITCH」という考え方を使っていました。

ST(Story) =まずその商品の背景ストーリー(世界観)を作る。
I (Idea) =そしてそれはどんな商品か具体化する。
T (Trial) =ひとまずそれを作ってみる。
CH(Check)=問題点や何が課題かを見直し、次にどうすべきか考える。

子供たちの日常でも同じことが言えると思います。

→ストーリー(やりたいことを伝える)
→アイデア(実現の具体策におとしこむ)
→トライアル(まずやってみて、何度も挑戦する)
→チェック(間違いを確認する )

という流れを体験していくことが必要なのではないでしょうか。

子供の“くだらない”話にしっかり耳を傾け、それを飛躍させるのが親の役割

 

大畠さんは、親の軽はずみな一言が子供たちの発想力を奪っているのではと警笛を鳴らします。

子供は本来ストーリーを作るのが上手でみんなが空想の世界を持っています。例えば、戦隊ごっこやおままごとなどを台本なしに展開していく力がそれです。しかし、成長とともに大人から、「何ばかなこと言ってるの」「そんなことより勉強しなさい!」などと言われるようになり、子供たちは発想することを次第にやめてしまいます。それが、子供たちの「Imagineeringの力(発想力+生み出す力)」を奪ってしまうのです。

いつまでも空想の世界ばかりではもちろん好ましくありませんが、成長するにつれ、その空想に数式や理論が加わることで具現化することを自然と学んでいくものです。親は否定するのではなく、新たな興味を提供することではないでしょうか。

子供の発想力を高めるディズニーメソッド

 

それでは子供たちの発想力を育むためには、私たち親は子供たちの話にどう対応すればいいのでしょうか?大畠さんは、実際ディズニー社内で行われている「“Blue Sky”ブレスト」を実践することを勧めています。

「“Blue Sky”ブレスト」とは、チームで行う企画のアイディア出しミーティングのことですが、絶対ルールは非常にシンプルで、

① どんな(くだらない)アイディアでも言って良い。
② 絶対に出たアイディアを否定しない。

の2点です。そして、アイディアに対しては必ず「Yes, if(そうだよね!こうなったらもっと面白いんじゃない?)」と、相手の元のアイディアを膨らませるような発想をすること。やってはいけないNG行為は、「No, because(それはだめだよ。だって〜なんだから。)」と答えること。

自分の今の育児で、ちゃんとこういった受け答えができているか振り返ると、はっと気付かされることがありますよね。ポイントは、「絶対に否定せず、相手の発想を広げるサポートをすること」です。

様々な「体験」が子供の発想力を作る

 

大畠さん曰く、人の発想力の奥行きは、その人の「体験」から作られるそうです。なので、子供たちはできるだけ色んな体験をする事を、大畠さんはお勧めしています。たくさんの体験をさせると言っても、たくさんのお稽古をさせることではありません。公園で泥だらけになって遊ぶ、図書館で様々な本に出会う、ボランティアをしてみる、山や海などの自然に触れるなど、日常でできる事でも十分だそうです。

そして大事なのは、私たち親も何かにチャレンジする姿を子供たちに見せる事。そんな直向きな親の背中を見るだけでも、子供たちは多くの事を吸収し考えています。

私たち親の工夫次第で、日常が子供たちにとっての学びの場となります。おけいこや学校探しも大事ですが、それ以上に私たち親が創造力を持って子供と接する事の方が、実は何倍も子供たちにとっては重要なのかもしれませんね。

Yoshimi Ueda // Tokyo

上田佳美/東京

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