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2017.08.21

レッジョ・エミリア幼児教育とは何か?そして家庭で実践する方法とは?

Category レッジョ・エミリア アプローチ

Tags こどものためにできること幼児教育レッジョ・エミリアモンテッソーリ

私達Kodomo Edu主催のレッジョ・エミリア アートサマーキャンプが先日終了しました。子ども達の溢れるクリエイティビティに圧倒される毎日だった2週間。その会期中に、このキャンプの為にロサンゼルスから来日したレッジョ・エミリア幼児教育に精通するスライヤ・ダウド先生の講演会を開催しました。その模様をレポートします。

The Reggio Approach

An excellence in early childhood education

「素晴らしい幼児教育レッジョ・エミリア」と名付けられたこの講演の前半はレッジョ・エミリア幼児教育とは何かの説明がありました。レッジョ・エミリアアプローチとはイタリアで約70年前に始まり、ここ10年位の間に世界中の教育者より注目を受けるようなった幼児教育法です。スライヤ先生は、キンダーガーテンの成り立ち、モンテッソーリ教育法との比較などの例を挙げ説明されました。

現在の幼児教育はいまだに1800年代に作られた教育法を元にしており、それはおおむね教育者(先生)が持っている知識を生徒に教え伝えるというもの。先生がAと言い、子どもがAと繰り返すというような暗記を元にする教育法なのです。それは主にして聞いて声に出して繰り返すというような機会的な作業で、物事の奥深い意味を伴いません。

それと反対なのが自分自身の経験を元に学ぶという教育法。人生は正にそうですが、私達人間は失敗や成功などの実体験から物事を学びます。そして実際の経験から学ぶということを重視するのがレッジョ・エミリア教育法。

例えば水がどう流れるかとの話を聞いても子ども達はさほど学ぶことができません。でも実際に水を触り、水を汲んだり他の入れ物に入れ替えたりすることを体験することにより、子ども達は水の性質を学ぶのです。レッジョ・エミリアでは子ども達の実体験を大切にします

リサーチで証明されるレッジョ・エミリア幼児教育

レッジョ・エミリア幼児教育の素晴らしさは世界の教育者や心理学者、そして脳の研究者などによるリサーチで証明されています。有名な教育者、ジョン・デューイは「子ども達は実体験から学ぶ」ことを実証しており、心理学者ピアジェは「子ども達は様々なことをきちんと理解している」と述べ、「子ども達は知識を注がれるのを待っている容器ではなく、自ら積極的に知識を構築する者」と定義しました。

そしてレッジョ・エミリア教育法の創設者の一人でもあるローリス・マラグッツィは子ども達の100の言葉という誌を書いています。子ども達には100通りの表現方法があるのです。スライヤ先生はこう加えました。

「もし子ども達が、美しく奥深い学びの環境に置かれ、私達大人が”子ども達はとても賢く色々なことができる存在”であり、”子ども達は様々な権利を持っている”と認めることができれば、子ども達はそれに対して責任を持ちそのような存在に育っていくのです」

私がロサンゼルスで見たレッジョ・エミリアの教室や学校はどこも本当に美しいです。そして先生達は子ども達が持つ能力やアイデアを最大限に引き出す努力を怠らない。なぜならば、先生方が子ども達の能力を信じているからです。

また脳の発達のリサーチからもレッジョ・エミリア教育法の素晴らしさが証明されています。

「従前の教育法は記憶・言語・視野などをつかさどる後頭葉や側頭葉などを主に使うように作られていますが、レッジョ・エミリアでは前頭葉の働きにより重きを置きます

前頭葉とは人間の思考、意思、創造力などをつかさどり、 人間が人間らしく生きるための機能が詰まっています。 目標設定し計画的に理論だてに効率的な行動を起こしたり、感情のセルフコントロールなどという 高次な活動を担う部分です。

 

これからの社会、そして世界で必要な能力とは?

コンピューターやロボットなどの機会の発達が目覚ましい近年、もしかすると後頭葉の役目は機会が代理してくれるようになるかもしれません。しかし批判的思考(クリティカル・シンキング)や問題解決能力、感情のコントールなどはいまだ人間にしかできない能力です。

私はこれからの子ども達に必要な力とは、想像力を持ち、そして物事を創造していく力を持つこと。今あることが当たり前だと思わず、常に「もっといいものはないか?」と批判的思考、そして問題解決能力を持つことだと思います。そして相手の感情を思いやり、同時に自分の持つ感情をケアすること。

スライヤ先生は続けます。

「子どもの能力を信じてあげてください。そして親は学びのパートナーであるということを忘れないでください。子どもが言うこと、やることに対して必ず問いかけや話しかけをし、一緒に何かを解決したり発見するというプロセスを大切にしてください」

 

家庭で実践できるレッジョ・エミリア教育法

それではどうすればレッジョ・エミリア教育法を家庭に取り入れられるのでしょうか?スライヤ先生はこう話します。

・車や人形など形が決まったものより、積み木などオープンエンドのおもちゃやマテリアルを子供に与える

・一度に出すおもちゃの数を3種類程度に限定

・出したおもちゃが好きではなかった場合は子供に選択させる

・子供の作り出すものに問いかけ・話しかけをする

 

オープンエンドのマテリアル、そして大人の関わり方が重要

私達Kodomo Eduのサマーキャンプでは様々なオープンエンドのマテリアルを用意しました。オープンエンドというのは、遊び方が幾通りにもなり、答えがたったひとつではないということを指します。オープンエンドの反対が文字通りクローズドエンド。例えばパズルなどは遊び方を変えられず、答えが一種類しかないのでクローズドエンドということになります。オープンエンドは粘土であったり積み木であったり、子どもや遊び方によって100通りの形を変えることを意味します。

子どもの想像力・創造力を伸ばすためにもぜひご家庭でオープンエンドのおもちゃや素材を用意してみてください。そして子どもが作り上げたものに対して問いかけ・話しかけをしてあげることにより、その子は自分が作ったものが価値のあるものだと認められることに気づきます。それは子どもの自信につながり、次にはもっと集中力が高まり更なる素晴らしい作品を作り上げるでしょう。

私と私の子ども達は2歳からロサンゼルスにてレッジョ・エミリア幼児教育を受けましたが、親や教育者と子どものつながりは本当に大切で、人間ひとりを育てていく重要な根幹なのだということを学びました。スライヤ先生のような素晴らしい幼児教育者に出会うことがもし難しくとも、親が子どもの学びに寄り添ってあげることはできると思います。子ども達の能力を最大限に信じて日常の中での問いかけや投げかけをしてあげられる一番の存在というのは身近にいる親や家族なのです。

こどものためにできること

私達Kodomo Eduは今後もレッジョ・エミリアを始め、子どもたちの可能性を最大限に活かす教育法をご紹介していきます。2017年冬にはスライヤ先生を迎えウィンターキャンプの開催も予定しております。今後のワークショップやセミナーなどのニュースをご希望の方はぜひお問い合わせ画面からご連絡ください。

Mutsumi Paterson

ムツミ・パタソン

 

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