日本の学校は社会人に必要な能力は教えてくれない

先日友人の勧めで、精神科医・医学博士の岡田尊司さんの著書子どもが自立できる教育という本を読んでみました。

この本は、昨今の日本で社会からドロップアウトし病んでしまう若者たちが増えていることを懸念し、著者がその原因は日本の教育にあるのではと仮説を立て、それを海外の先進国の教育と比較しながら実証しています。

私もほぼ日本でしか教育を受けていないので知らなかったのですが、子どもそれぞれの特性に合わせず皆が画一的な教育内容を画一的な方法で学ぶのは、先進国でほぼ日本だけのようです。特に、”偏差値”を重視する日本の教育では、社会人に求められる「統合能力」は十分に養えないので、先進国と比べて高学歴の人たちのドロップアウト率が高いそうです。ここで言う「統合能力」とは

”「統合能力」 = 情報を組織化、系統化する能力”

です。

以前こちらの記事(→)で都内有名英語塾「 J PREP斉藤塾」代表の斉藤先生にお話を伺った時も、「海外のコンサルティング業界では、“日本の大学生は戦力になるまでに時間がかかる。”とも言われています。」とおっしゃっていた事を思い出しました。

斉藤先生が日本の学生に足りないと言っていたい『情報を編集する力(情報の信憑生を調べる)』、『概念を自分で適宜する力』も、総合能力の一部です。これがやはり日本の優等生でも欠けているケースが多いことは事実のようです。

「統合能力」を鍛えられる海外の教育とは

著者はここで、若者のドロップアウト率の低い他の先進国の教育を、日本の教育と比較して検証しています。
学生の総合能力が高い国の教育事例をここでもご紹介します。
①オランダ

国民の9割が生活満足度が高く先進国でも目を見張るのがオランダ。多種多様な教育理論に基づく学校があり(選択肢が多いことは本当に羨ましい限りです)、学校側が子どもを選ぶのではなく、子どもがどの学校に行きたいか選べるそうです。
生徒一人一人のニーズに合った教育が行われるので、小学校から時間割さえも子どもが決められます。なので自分の好きな教科をとことん追求できる環境があり、先生が一方的に教えるのではなく、全て生徒が手を動かす形で学びます。
そして驚くべき事に「成績には順位をつけない」そうです。というのも、重要視されているのが”成績”ではなく、”本人の特性に合った、本人の可能性を最大限に伸ばすこと”だから。このような環境で育つ子どもには揺るがない自尊心が育まれると感じました。

②スイス
ルソーやピアジェなど偉大な思想家・教育学者を排出してきたスイス。生活満足度もオランダと並んで非常に高く、若者の失業率も非常に低く、さらには国際バカロレアが設立された本境地でもあります。スイスは、”近代的な教育への関心がいち早く芽生え、発展してきた教育先進国”。そのため、知的教育とともに実践的な教育を重視しており、「生活と仕事の準備をする」ことが教育の目的だそうです。
私の友人のスイス人パパも、職業訓練に非常に重きを置いている国だと言っていましたが、職業訓練学校が大学と同じくらい評価されるそうです。しかし同時に、教育自体は競争が激しいとも言っていたので、学ぶことへの意識も非常に高い国なのだと思います。
また、スイスの学校はどこもアットホームな雰囲気に溢れていて、先生と生徒の距離も非常に近いという正に理想的な環境のようです。

③ドイツ
ドイツは中でも子どもの自立が意識されている国で、学校の進路でも早くから将来の自立を意識した選択が求められます。驚くことに、日本でいう小学校四年生が終わった段階で進路を決定するそうです。進路を決定するには少々早い気もしますが、小学校のうちから「進学する学校」ではなく「自分がやりたい仕事」をイメージするのは、とても大事だと思います。進路を決める際も、その子の適性をしっかり考慮されるそうです。
また、ドイツではシュタイナー学校もさかんで、そこでは数的な成績評価は行わず自由研究型の学習が中心のようです。

家庭でもできる「統合能力」を鍛える方法

ここで、著者が挙げている家庭でもできる「統合能力」の鍛え方をご紹介します。
①とにかく体を使って遊ばせる
ブランコやトランポリン、ボール遊びや鬼ごっこ等は、同じ”遊び”でも脳の違う回路を使っています。視覚的情報、聴覚的情報、知覚入力、運動出力といった異なるモードの情報処理を行うことは、統合能力の発達を促すそうです。予測できない要素が入れば入るほど良いとも著者は言っています。同じ遊びを毎日繰り返すだけでは、同じ回路ばかり使うことになり効果が乏しいそうです。
②文章を書く
受験ではマークシート形式も多く見られますが、その回答パターンを繰り返していると、統合能力に重要な”文章を構成する”力が衰えてしまいます。読書と読書感想文がセットになっているのは、非常に重要な統合能力の訓練のようです。
③自分の意見を発表し討論する
”自分の考えを主張することに加え、相手の反応に対して答える相互の掛け合いや対話、議論を学ぶことがより高度な統合能力を鍛える。”と著者は言っています。自己主張するだけでなく対立した意見を乗り越えるプロセスが重要だそうです。
④チームワークの必要な集団の中で「協調」や「リーダーシップ」を学ぶ
自分の考えの主張や他者との対立を克服することに加え、集団全体の対立や意志を統合していく能力が鍛えられます。こうした能力は幼児期後半にはすでに見うけられるようで、年中さん年長さんからボーイスカウトや集団スポーツに参加させることは大事かもしれません。

我が家も今、年中の娘の今後の進学先について悩んでいますが、こういった総合能力を高められる環境かどうかを意識して選びたいと思いました。小学校を待たずとも、幼稚園の間も学校と家やお稽古の往復ばかりでなく、休みの日は色んな体験をさせてあげたいですね。

Yoshimi Ueda // Tokyo

上田佳美/東京

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