子どもの可能性を信じ、それを伸ばす言葉がけ

前回のブログで、アメリカのモンテッソーリ教育者がどのような言葉がけをモンテッソーリでは使うかという記事、そして具体的に3つの言葉がけをご紹介しました。今回はその続きで4つの言葉がけをご紹介いたします。

子どもの可能性を伸ばす言葉がけ【前編】

原文を英語で読みたい方はこちらをどうぞ

7 Key phrases Montessori teachers use, and why we should use them too

 

4. “Which part would you like my help with?”   どの部分を手伝ってほしい?

モンテッソーリの教室では、子ども達は自分の周りにあるものに対して責任を持ち、多くの場合責任を持つことに誇りを持っています。テーブルに花を飾ったり、庭に水をまいたり、窓やテーブルを拭いたり。

 ただ時にはタスクが大きすぎて子どもが圧倒されてしまうこともあります。そういう場合、大人は子どもに「どこをどう手助けすればよいか」を聞きます。慌てて助け船を出すことによって”その子どもにはできない”というメッセージを送りたくないのと同時に、子どもがこなせないような気持ちでいることも避けたいからです。

 例えばもし子どもが疲れているけれどレゴを寝る前に片付けなければいけないとします。その状況では全部片付けることはとても大変すぎるように思えてしまうかもしれません。イチかゼロでなくて良いのです。“which color would you like me to put away(ママにどの色を片付けて欲しい?)” とか“I’ll put away the yellow pieces and you put away the blue(ママは黄色を片付けるから青を片付けてね)”などの話しかけをし、子どもにママも一緒にいるんだよと教えてあげてください。 

 

5. “In our class, we …. クラスでは私たちは…” (Or at home— “In our home, we…”  家では私たちは…)

これらのフレーズは命令ではなく、客観的にクラスや家などのコミュニティにおけるルールや取るべき行動を再認識するのに役立ちます。命令的に話すよりもはるかに子ども達の協力が得やすくなります。“In our class, we sit while we eat(私たちのクラスではご飯を食べる時は座るのよ” と言った方が“Sit down.(座りなさい)”と言うより効果的です。

私たち同様に子ども達もコミュニティの一員になりたがっているのです。私たち大人は単に、コミュニティがどうやって機能するのかを子ども達にリマインドするのです。

もし家庭でのルールが家の中では走らないことであれば、 “stop running(走るのをやめなさい),”という替わりに“we walk inside our house(私たちは家の中では歩くのよ)”と言ってみて反論が少なくなるか試してみてください。

 

6. “Don’t disturb him, he’s concentrating.”  邪魔しない、集中してるから

子どもの集中を妨げないこともモンテッソーリの根幹となる哲学です。モンテッソーリでは3時間の邪魔をされないワークタイムを設けます。その時間があることにより、子ども達は深い集中をすることができ、次のアクティビティに移る時間などの理由で中断されることもないのです。

子どもが上手に何かをやっている時に褒めてあげたくなるのが大人の心情ですが、時にはアイコンタクトを取るだけでも子どもの集中を妨げてしまうことになります。

今度子どもが絵を描いたりタワーを作ろうと積み上げている時、「すごいね」などと言わずにただ通りすぎるようにしてみてください。そして、後で「その子がどれだけ集中していたか気付いてたよ」と伝えてみてください。

 

7. “Follow the Child.”   子どもに寄り添う

最後はとても重要なフレーズです。これは子ども達に対する言葉ではなく、モンテッソーリ教育者がお互いに、そして保護者に使う言葉です。教師たちは“follow the child,子どもに寄り添う”ことが大切だと互いにリマインドし合います。それはひとりひとりの子どもがそれぞれのペースで成長しており、その子が今あることに取り組むことに理由があるからです。

これは子どもの行動を理解するのに役立ちます。誰しもが1歳までに歩けるようになる訳ではなく、また4歳までに文字が読めるようになるわけではないのです。子ども達自身はいくつまでに何ができるようになるはずだというような表が存在することさえ知らないのですから。

”子どもに寄り添う”というのは、ひとりひとりの子どもは独特で、個人によって違う要求・情熱・才能があり、それにしたがって教え導かれるべきだということです。

例えばもしあなたの子どもが読むことに興味がなければ、何に興味があるのか観察してみてください。もしふざけたりするのが好きならば、ジョークのたくさん載っている本をあげるのが良いかもしれません。”子どもに寄り添う”ことにより、あなたの子どもに対する見方が変わり、子どもに逆行するのではなく、子どもと共に進めるようになるのです。

家庭でも実践できる言葉がけ

前回も書きましたが、レッジョ・エミリアアプローチの哲学はマリア・モンテッソーリの哲学をルーツにする部分があります。これらの言葉がけは私が経験したレッジョ・エミリアの学校でもよく使われているし、読んでいてとても納得できるものでした。

教育法は違えど、どちらも子どもの可能性を信じ、ひとりひとりの子どもの感性を大切にするという根幹は同じなようです。お子さんがモンテッソーリやレッジョの学校に通っていなくてもご紹介したような言葉がけは家庭ですることができ、それにより自立心を促したり集中力を高めることができるのです。もし心地良く感じるフレーズがひとつでもあれば、ぜひご家庭でも実践されてみてください。

Mutsumi Paterson

(ムツミ・パタソン)

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