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2019.01.21

レッジョ・エミリア・アプローチの幼稚園と日本の幼稚園の違い

Category レッジョ・エミリア アプローチ

Tags 幼児教育幼稚園レッジョ・エミリアレッジョ・アプローチ



私がレッジョ・エミリアを知った頃、日本でのレッジョ・エミリアに関する出版物は、イタリア本家レッジョ・チルドレンの「子ども達の100の言葉」か、「驚くべき学びの世界―レッジョ・エミリアの幼児教育」くらいしかなく、情報収集するのに本当に苦労しました。
特に、レッジョ・エミリアの幼稚園が具体的にどのようなことをやっているのかという基本的な情報がまずなかったのです。
私はスライヤ先生と出会ったことで、まさに現場で覚えるようになりましたが、レッジョ・エミリア・アプローチの幼稚園のあり方について書かれている本をやっと見つけたのでご紹介します。

この本「レッジョ・アプローチ」は、日本でイタリア人またはイタリア人と日本人のハーフの子供達にイタリア語を教えているアレッサンドラ・ミラーニ先生の本です。彼女は元々は教育関係の仕事ではありませんでしたが、来日と同時に幼児教育の道を志し、レッジョ・エミリア・アプローチを実践しているそうです。

レッジョ・エミリアと日本の幼児教育の大きな違い

私がレッジョ・エミリアを勉強して感じた、日本の既存の幼児教育との大きな違いは、「子供の何を伸ばすべきか」という視点です。
日本では一般的に0-6歳の小学校入学前の教育とは、小学校以降の勉強の土台を作ることに重きを置かれています。文字や計算のドリルをこなし、小学校の勉強内容を先取りする。いかに幼少期にIQ/知能指数を上げるか。などが議論のテーマとなります。
それに対して、まずレッジョ・エミリア・アプローチでの0-6歳の”幼児期”に対する考え方は、

(幼児期は)一人一人の人(子供)が、自分の持っている権利、必要性、可能性と有能さを、周囲から十分に尊重されるべき、人生の中のきわめてユニークで貴重な時間である。

と捉えています。つまり、IQなどは全く考慮されておらず、子供達の個性とそれぞれの表現方法を見極め、そこを先生と親が認め十分に能力を伸ばせる環境を作ってあげることが大事とされています。
日本の一般的な幼児教育の概念と根本が異なるので、まずは私たち親がこのアプローチの理念を理解する必要があります。
IQや偏差値というたった一つの基準だけで子供の能力を計ってしまうと、これからのAIと共存する時代で輝けるかもしれない大事な才能をつぶしてしまう可能性もあります。”子供たちの100の言葉”で表現されるよう、子供それぞれの能力を何で計るかは100以上の基準があります。自分たちの子供の才能の芽を潰さないためにも、レッジョ・エミリア・アプローチで実践されるように、私たち親が広い視野を持って子供達を観察し導くことが重要です。レッジョ・エミリアは、私たち親にとっても学びの宝庫なのです。

レッジョ・エミリアでの子どもの存在

私たちKodomoEduのレッジョ・エミリア・サマースクール/ウィンタースクールでも大事にしている概念ですが、レッジョ・エミリアでは全ての子供達はみな”有能”な存在です。この本では子どもについて下記のように述べています。

① 子どもは「権利の主体」である。
② 子どもは、その成長過程における活動の主役であり、有能な「知識の創造者」である。
③ 知識、判断力、自主性、人間関係の構築力などを身につけることは、子どもひとりひとりによって行われる個人的なプロセスであると同時に、グループによって獲得されるものである。つまり、同年代の子ども同士、さらには子どもと、周囲にいるおとなとの、関係性のネットワークを通じて実現される。
④ (中略)彼らの「百通りの言葉」は、子ども達が持つ驚異的なポテンシャル、創造的・知的な働きの表れである。それは音声言語だけにかぎらない。様々に異なる自己表現の方法も、言葉として評価されるべきである。

全ての先生が生徒みんなを有能な存在と認めることからレッジョ・エミリア・アプローチは始まります。

レッジョ・エミリアでの親の存在

親も保育に参加することは不可欠。「はい、お願いします」と預けただけで、子どもがプログラムを終えたら能力が開花しているということはありません。先生と保護者のコミュニケーションと連携があって初めて成り立つものです。この本にもある子どもの事例が出ていましたが、最初の子どもの母子分離や、親が心配になる子どもの行動については、親が家でしっかり観察し、先生も学校で観察し、その観察したものをお互い共有ししっかり話し合うというプロセスが不可欠です。ドキュメンテーションは親と先生間のコミュニケーションツールでもあります。
我々のスクールでは、先生と保護者のQ&Aはウェルカムです。先生と話し合えば話し合うほど保護者も子育てに関する学びがあります。

レッジョ・エミリアの先生とは①繊細さ・注意力・観察力が求められる

スライヤ先生と日本でサマースクール/ウィンタースクールを開催してきて、一番難しいのは先生のトレーニングです。スライヤ先生もよく言っていますが、レッジョ・エミリア・アプローチはとても”organic”な教育法なので、マニュアルがあってそれに沿ってやれば誰でもすぐにレッジョ・エミリアの先生になれるわけではありません。
この本でも触れられていますが、子どもと接するにあたり、繊細さとともに、注意力、観察力、そして集団を組織しオーガナイズする力が必要です。また、子ども達が知識やアイディアを構築するに当たって、子ども同士の議論をサポートする力も先生には求められます。KodomoEduのサマースクール/ウィンタースクールでも日本のインターナショナルスクールで過去に働いていた先生もいましたが、今まで経験してきた学校とはやり方が違って最初戸惑ったと言っていました。インターナショナルスクールの先生でもそう思うので、日本の一般的な幼稚園の教育文化とも大きく違うのではないかと思います。
日本でなかなかレッジョ・エミリアの学校ができないのは、レッジョ・エミリア・アプローチを本当に実践できる先生がいないからではないでしょうか。

レッジョ・エミリアの先生とは②日々研究し革新し続ける

レッジョ・エミリアの学校で教育にあたる人たちは、創案者のロリス・マラグッツィが唱えたことを、ただ機械的に繰り返すということは決してしません。そうではなく、彼らはつねに、子供の「学び」についての研究を重ね、教育現場での自身の経験を生かしながら教育学と教育手法の進歩に貢献し続けているのです。

スライヤ先生も子どもやその時の環境によってやり方が変わるし、毎日が勉強であり研究だと言っています。また、我々が去年子ども教育立国さんと共同主催した、サンタモニカの有名幼稚園の創設者アリース・アイヴィさんの独自のアプローチ法も、レッジョ・エミリアを研究し尽くした上で生み出したアプローチなので、この本で言う、”教育現場での自身の経験を生かしながら教育学と教育手法の進歩に貢献し続けている”というのを実践しています。
レッジョ・エミリア・アプローチは、子供だけでなく、先生も親も協力して学び続けるコミュニティーの場です。こんな場所が日本にもっと増えることにKodomoEduとしても貢献してききたいと思います。

Yoshimi Ueda // Tokyo

上田佳美/東京


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