最近よく聞く「国際バカロレア(IB)」。私には小2と年少の息子がいますが、息子たちの個性を活かせるような教育はないだろうかと情報収集をしていた時に出会った本が、東京インターナショナルスクール創設者、坪内ニュウエル郁子さんの著書「世界で生きるチカラ ー 国際バカロレアが子どもたちを強くするです。

国際バカロレアとはスイスの非営利団体「国際バカロレア機構」によって運営されている、3〜19歳までの総合的な教育プログラムです。国際社会で活躍する人材の育成を基本理念としています。

2020年以降、日本の教育はどう変わる?

国際バカロレアと聞くと、インターナショナルスクールに通う子どもたち向けの教育というイメージかもしれません。しかし、2020年に始まる教育改革では、”国際バカロレア認定を受けた高校を2020年までに200以上に増やす”という具体的な目標が掲げられています。文部科学省によると、2017年時点では67校、あと3年間で150校増やすことが目標とされています。(参照:文部科学省HP
注目すべきは、「日本語デュアルランゲージ・ディプロマ(通称日本語DP)」という新たな試みです。今までは、英語またはフランス語、スペイン語でしか学べなかったプログラムが、日本語DPの導入により教科の大部分を日本語で受けられるようになります。
グローバルな人材を育てるには英語での教育が必須だと思われるかもしれませんが、英語はコミュニケーションツールのひとつに過ぎません。本にも書かれていますが、もっと重要なのはひとりひとりの人間性
坪谷さんの言う”真のグローバル人材”とは、「自国のアイデンティティを持ち異文化を受けいれることのできる人」。言葉と文化は非常に関係性が深く、日本には日本の良さがあり、それは日本語を通して学ぶべきと言っています。

また、DP導入の動きは大学入試にも影響を与えているようです。文部科学省によると、ここ数年で国際バカロレアを活用した入試が増えています。東京大学を始めとした複数の大学が、推薦入試等の受験資格のひとつにDP修了資格を挙げるようになってきました。私の母校の慶應義塾大学も、「国際バカロレア資格取得者(日本国内)対象入試」という特別枠を設けています。(参照:文部科学省「国際バカロレアを活用した大学入学者選抜例」

センター試験の廃止に伴い、今後は日本の大学入試でも国際バカロレアが入学基準として大きな役割を果たすことになるでしょう。

なぜいま国際バカロレアなのか

この本によると、今国際バカロレアが日本の教育に必要な理由として下記を挙げています。

① 過去四十年に渡りDPの修了生が世界中の難関大学に入学し、入学後も好成績を残している点

② ある特定の国の教育システムにとらわれず、数カ国の教育システムの最も優れている要素を取り入れて構成されているという点

③ 国際バカロレア機構が掲げる教育理念、「全人教育」。すなわち、思考力・表現力に重点を置いた高い知的水準の達成、異文化に対する理解と尊重を通じ、より良い平和な世界の創造のため、探求心旺盛で、聡明かつ思いやりのある若者を育成することを目標にしている点

これらが評価されているようです。「グローバルエリート教育」のイメージが強いかもしれませんが、ゴールはそこではないようです。

国際バカロレアでは学力を重視するだけではなく、人間力を育むための幅広い知識と教養を身につけることが求められています。

坪谷さんいわく、AI時代に向けて子どもたちに身につけてもらいたいのは、社会がどんなに変わろうともそれに対応できるような一生学び続ける力です。国際バカロレアは21世紀を生きる力、一生学び続ける力を育むプログラムなのです。

探求型学習が「学び続ける力」を育む

国際バカロレアには成長段階に応じた3つのコースがあります。

【PYP〈幼稚園・小学校レベルのプログラム〉】
●対象:三〜一二歳
●目的:探求する人としての基礎教育。そのために必要な知力、体力、精神力のバランスが取れた人間になることをめざす。

【MYP〈中学校レベルのプログラム〉】
●対象:一一歳〜一六歳(プログラムは五年間)
●目的:教科を学びながら、実社会とのつながりを理解し、分析し、省察して考える人間になることをめざす。

【DP〈高校レベルのプログラム〉】
●対象:一六歳〜一九歳(プログラムは二年間)
●目的:大学受験やその先の人生を見据え、強みや個性を明確にして、自らが進む道を見極められる人間になることを目指す。

国際バカロレアのカリキュラムは「探求型学習」という特徴を持っています。教師が答えを与えたり解説したりするような授業はありません。子どもたちは知りたいと思ったことや疑問に対して、それぞれが自分なりに答えを出していくスタイルです。
坪谷さんいわく、最初はうまく出来ずに失敗することもありますが、そこでなぜうまくいかなかったのかを振り返ることが成長につながるそうです。仲間との関わり方や、探求を進めていく途中での新たな気づきなど、全てが学びとなるカリキュラムです。また、誰かに言われたからではなく、自分自身がやりたいと思ったことを学び、それ故に高いモチベーションが保たれます。
そして教師は、子どもたちが自発的に学べるように環境作りをする「学びのファシリテーター」と位置付けられています。子どもたちと共に成長し「学び続ける」存在だそうです。

私が子どもの頃に受けたのは、教師が問題の解き方を説明するような、一方通行の授業でした。その時はそれが普通のことだと思っていましたし、楽しい授業もありました。しかし、これからは「創造」することが求められる時代。今までと同じ教育を受けて、子どもたちにそのような力が身につくかは正直不安です。

子どもたちの個性や強みは何か、本当に学びたいのは何か、それはどこで学べるのか。彼らが自分の意志で未来を選択できるように、私たち親も、新しい選択肢を用意するなど工夫することが求められます。そのために手助けとなる情報を、Kodomo Eduを通じて、皆さんと共有できたらと思います。

Haruka Okuwa // Kodomo Edu Office

大桑はるか/Kodomo Edu 事務局

【おすすめ記事】
【いよいよ受付開始!】Kodomo Edu 英語アートサマースクール2018
レッジョ・エミリア幼児教育とは何か?そして家庭で実践する方法とは?
レッジョ・エミリア アプローチって何?② ”子供が100人いれば100通りの言葉がある”