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2024.05.28

日本の小学校お受験が世界の教育トレンドと逆行している事実

Category レッジョ・エミリア アプローチ

Tags 幼児教育受験子供教育レッジョ・エミリア子ども

小学校お受験は時代遅れ!?

小学校のお受験でキーポイントとなるのは「指示行動ができるかどうか」と言われています。子供が先生の指示通りに動けるかどうかが受験の合否を分けるそうです。
しかし、今の小学生の65%は現在存在しない仕事に就くと言われています。AIとの共存が求められる子供には、未だかつてないほどに創造力が求められるのです。その中で、小学校受験で身につける「指示行動」は色んなことを吸収する大事な幼児期にどれほど必要でしょうか?
先日のブログ「日本でも増えているホームスクーリングの実態とは!?」でもご紹介しましたが、有名ブロガーのイケダハヤトさんも、下記のように述べています。

普通の学校なんて、揶揄とかではなく「サラリーマン養成所」ですからね。毎日学校に行って、与えられた授業を受けて、教師のいうことを聞いて、周囲との和を大切にして……というのは、サラリーマンそのままじゃないですか。
これからの時代、言われたことだけやっていてもダメなんです。(イケダハヤト

ある程度のマナーやしつけはもちろん大事。でも、一方で小学校受験は「スーパーサラリーマン」になる素地を身につけることになると、覚悟しないといけないと思います。

小学校お受験と今話題のレッジョ・エミリア幼児教育を比較してみた

東洋経済オンラインの記事「田園調布「お受験の名門塾」が大事にすること」に、小学校受験の名門塾の教育の様子について書いてあったので、今注目されているレッジョ・エミリアと比較してみました。

①小学校お受験塾:覚えることで”身につく”
レッジョ・エミリア:子供たち自身が”創造する”

この記事では、「仕事を”覚えられる”できる新入社員」になるには?という視点で、徹底的に何度も繰り返すことで子供に覚えさせるお受験塾の教育方針について説明していました。
しかし、そもそも仕事を「覚えるもの」と捉えるのが時代錯誤となっているのではないでしょうか?これからの時代、サラリーマンになったとしても「”仕事を作れる”社員」しか生き残れないと思います。
それに対してレッジョ・エミリアは、子供が本来持つ創造力を伸ばすことに重きを置いています。子供が主体で子供の興味のあることを掘り下げていく。同じことを繰り返すお受験の準備と真逆です。

②小学校お受験塾:子供には大人がある程度厳しく働きかけることが必須
レッジョ・エミリア:全ての子供に創造力があり大人はそれを引き出す役割

小学校受験では先生と生徒の上下関係が明確です。お教室では先生は絶対的な存在であり唯一の有識者。子供達は先生に言われたことに従い、先生に”訓練”されます。
それに対してレッジョ・エミリアは、「全ての子供には高い能力が備わっている」という概念に基づいているため、先生の役割は子供が本来持つ力を信じ、想像力や創造力を引き出すこと。先生にはいかに教えるかではなく、いかに子供をひとりひとり”観察”し、創造力や発想力を高めるよう導くかが求められます。決められた知識を単純に教えるよりも、はるかに難しいことがレッジョ・エミリアの先生には要求されるのです。

③小学校お受験塾:医師や大企業勤めなど従来理想と言われる職につける
レッジョ・エミリア:今の小学生の65%が就くとされる現在存在しない仕事に必要な能力が身につくことを目指す

小学校お受験のゴールは、有名私立小学校に入学すること。そして、子供達が社会人になって、医者や弁護士、または大企業に立派に勤めることを理想とします。しかし、以前のブログ「オックスフォード大学が認定 あと10年で消える職業」にもありますが、それらの仕事の多くもAIにとって代わられ存在しなくなるのです。下記の「消えて無くなる職業」も、立派な大企業にもある職種です。

【近い将来で消えて無くなる職業の一例】
「銀行の融資担当者」「金融機関のクレジットアナリスト」「不動産のブローカー」「保険の審査担当者」「給与福利厚生担当者」「パラリーガル、弁護士助手」「簿記、会計、監査の事務員」

そしてオックスフォード大学の准教授オズボーン氏は、「弁護士・医師・警察までが人工知能により可能になる」と述べています。
大企業に入っても、自分で問題を見つけプロジェクトを立ち上げるようなプロデュース能力がある人でないと、生き残れないのです。
それに対してレッジョ・エミリアは、子供の主体性や創造力を伸ばすことに重きを置く教育のため、企業に勤めるにも、起業するにも、必要な能力が養われます。

④小学校お受験塾:一定の価値基準で他の子供と比較し競争させる
レッジョ・エミリア:「子供が100人いれば100通りの答えがある」

小学校受験では、やはり「競争」は避けられません。ある一定の価値基準の上でその子の能力がどの程度か測ります。その能力が高いと判断された子が合格を勝ち取っていく。
しかし、現実の仕事の世界では、目標を達成するやり方はひとつだけではありません。さらに、困難や障害が伴う目標であればなおさら、今までになかった方法を生み出して勇気を持って実践することが求められます。
レッジョ・エミリアでは、子供一人一人の発想や考えを探究し、実践に導いていきます。

日本の教育の長所を維持しつつ時代に適応を

とはいえ、もちろん小学校受験にも、マナーや根気強さが身につくなど良い点もあると思います。一番重要なのは、ママ・パパが学校や塾の方針に左右されるのではなく、自分たちの確固たる教育ポリシーをしっかり持つことだと思います。自分たちの判断基準を持った上で、塾や学校の方針の納得いくものを受け入れ、子供の教育の場をママ・パパ自らが選ぶことが子供たちの未来のために必要ではないでしょうか。

Yoshimi Ueda // Tokyo

上田佳美/東京

上田 佳美
慶應義塾大学卒業。20代でウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。モバイルコンテンツのプロデューサーとして従事し、ディズニーの “最高のモノづくり”、”最高のチームを作る ” 文化に多くを学ぶ。その後映画業界で、世界で認められる日本人のクリエイター達と出会い、日本人の創造性に興味を持つ。2016年レッジョ・エミリアのアプローチと出会い衝撃を受け、サマースクールなどの開催を経て、2019年東京・中目黒に本格的なレッジョ・アプローチを目指すKodomo Edu International Schoolを創設。

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