2017.05.23
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2024.05.31
レッジョ・エミリア視察レポート!〜Kodomo Edu in レッジョ・エミリア〜
Category レッジョ・エミリア アプローチ
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お久しぶりです。Kodomo Edu(こども・えでゅ)の上田です。先月5月に念願のイタリア、レッジョ・エミリア市に視察・研修に行ってきました!
一年に一度の市をあげて大イベント、”レッジョ・ナラ”に参加したり、現地の幼稚園を見学して先生からお話を聞いたり、お子さんをレッジョ・エミリア・アプローチの幼稚園に通わせている保護者のお話を伺ったり、現地の幼稚園の子供達に向けてワークショップを実施したり。クライマックスでは、本家本元レッジョ・エミリアで30年以上に渡り教師育成をされてきた伝説のペタゴジスタ(幼児教育専門家)から直接お話を聞くことができた貴重な研修となりました。
レッジョ・エミリア・アプローチが生まれた本家の方達からの学びは、私たちKodomoEduのレッジョ・エミリアの本質への理解を深めました。
アメリカのレッジョ・インスパイアと出会ったことで始まったKodomo Eduですが、本家レッジョ・エミリア市で行われているアプローチ、そしてその世界観について、学んだこと・感じたことをレポートいたします。
レッジョ・エミリア市全体で力を入れる幼児教育
まず大前提として、レッジョ・エミリアは市全体で幼児教育に力を入れています。ここが日本との大きな違い。歴史的背景としても、第二次世界大戦直後、子供を持つ女性達が子供たちの明るい未来の実現に向けて、自発的に立ち上がったことから始まった教育アプローチであり、市民の関わりも大きな役割の一つです。市と、市民が協力して生み出す教育環境が、レッジョ・エミリア・アプローチの根幹にあります。
今回の旅でそれを特に感じたのが、市立の幼稚園の日々の活動に市も定期的に関わっていること。子供の学ぶテーマについて市からも提案があったり、幼稚園側からも今こうゆうプロジェクトをしているのでこれをして欲しいと市にリクエストしたりと、相互に連携を取っているそうです。
こちら↑は、あるレッジョ・エミリア市立幼稚園の入り口横にあったパネル。「dirriti」とはイタリア語で「権利」という意味。”子供達の「権利」がここでは守られている”ということを表す印です。これは、市立の全ての幼稚園の入り口にあるそうです。どの幼稚園の玄関にも「子供の権利」を主張するサインを掲げているとは、本当に真剣に子供の育つ環境のことを大人が考えているのだと感心しました。
子供達の環境は、私たち大人の手にかかっているのだと切実に感じました。
先生のプロ意識が高いレッジョ・エミリア
今回の視察で一番印象的だったのは、30年以上に渡りレッジョ・エミリアで教師育成に携わってきたペタゴジスタ(幼児教育専門家)、マルゲリータさんのお話を聞いたことです。彼女は1976年から専門学校・大学にて1000人以上のレッジョ・エミリアの幼稚園・保育園の先生達を育成してきました。
彼女はレッジョ・エミリアの創設者であるローリス・マラグッチとも仕事をした経験を持つ貴重なペタゴジスタ(幼児教育専門家)であり、レッジョ・エミリアの文化を育むことに貢献されてきた方です。
そんな彼女が、教師を目指す生徒達に最初にする質問があるそうです。
「あなたはなぜ幼稚園の先生になりたいの?」
みなさんが生徒だったら何と答えますか?もちろん何が正しいという決まった答えはありません。でも、誰よりも多くの先生を育成してきたマルゲリータさんはこう話します。
「この質問に対して、一番最初に ”子供が可愛くて好きだから、先生になりたい。” と答える人は、教師をやるべきではないわ。」
厳しい言い方かもしれませんが、彼女の言葉は本質をついていると思います。私たち親はよく分かっていることですが、子供は”かわいい”だけでは育てられません。それでは”かわいいから”ではなく何が必要なのでしょうか?
レッジョ・エミリアのコンセプトでもありますが、子供は小さい未熟な人間ではなく一人の立派な人間ということを、私たち保護者や教師は理解した上で、対等に接することが必要です。そうすることで、子供と真剣に向き合い、子供から発する言葉、子供が作り出すものに対して強い関心を持ち、観察し、大人側からも真剣なリスポンスをするということができるからです。
レッジョ・エミリアが子供の「創造力」を最大限に引き出せる理由
レッジョ・エミリアでは子供達を「研究者」として捉えています。子供は世の中のことを何も知らず、これから知識を身につけていく存在ではないのです。
例えば、子供がうろうろ歩いている時。普通の大人だったら、「ちゃんと座りなさい」と言って座るべき場所を教えます。
これがレッジョ・エミリアの先生だと、「この子はなぜ今歩いているんだろう。今何を考えているんだろう。」と思い、その子を観察し、「どうしたの?」と本人の意思を確認します。
子供は、「守られている」「認められている」「受け入れられている」と感じた時に”安心感”を得て、学びの探求に集中できます。この瞬間といのは、想像力は無限大に解放されいてる時。こうして探求学習を繰り返す過程で、子供たちは創造力を身につけます。
これは家庭教育にも取り入れられる大事な考え方だと思います。
日本でレッジョ・エミリアのような環境の幼稚園を探すのは至難の技です。しかし、私たち親がレッジョの価値観に触れ、そのアプローチを家庭内で取り入れるだけでも、子供達は学びは大きく変わっていくと思います。是非ご家庭でも試してみてください。
Kodomo Edu(こども・えでゅ)は、今後もレッジョ・エミリア・アプローチをはじめとし、子供達が21世紀を生き抜くために必要な能力を身につけられるようなユニークなワークショップやイベントを開催していきます。引き続きKodomo Eduをよろしくお願いいたします!
Yoshimi Ueda // Tokyo
上田佳美/東京
上田 佳美
慶應義塾大学卒業。20代でウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。モバイルコンテンツのプロデューサーとして従事し、ディズニーの “最高のモノづくり”、”最高のチームを作る ” 文化に多くを学ぶ。その後映画業界で、世界で認められる日本人のクリエイター達と出会い、日本人の創造性に興味を持つ。2016年レッジョ・エミリアのアプローチと出会い衝撃を受け、サマースクールなどの開催を経て、2019年東京・中目黒に本格的なレッジョ・アプローチを目指すKodomo Edu International Schoolを創設。
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