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2017.05.23

アメリカで活躍される日本人レッジョ・エミリアの先生〜後編

Category レッジョ・エミリア アプローチ

Tags レッジョ・エミリアアプローチレッジョ教育者

前回ご紹介した、アメリカで10年以上もレッジョ・エミリア教育の現場で指導されている久弥子(Kumiko)先生のインタビュー後編です。前編はこちら。前編の最後で”レッジョの先生をされていてやり甲斐を感じることは?”とお聞きしました。「子ども達を観察して、子ども達の知識度を次のレベルに引き上げるようなマテリアルのセットアップを心がけている」という久弥子先生。マテリアルに関するお話がさらに続きます。そしてレッジョにおける”アート”の役割とは?

レッジョにおけるアートとは?子どもの考えや表現をサポートするツール

Q:レッジョの先生をされていてやり甲斐を感じることは?

子どもの無限の可能性がマテリアルを通じて分かることもとても面白い

例えば、子ども達が蝶々を観察していたので、アトリエでワイヤーやルースパーツ(枝、小石、葉っぱ、花びらなど)をセットアップしました。そうすると、子ども達が思ってもいなかったデザインを作るんですよね。子どもひとりひとりが違って当たり前、まさしく「子どもたちの100の言葉」なんです。

Q:トラディショナルの園に比べてレッジョの園が違う点、それについて努力されている点は?

先生の子どもに対する観察力が違うと思います。レッジョでは先生がとても深い観察力を持ち、そして常にリサーチャーであることが必要です。子どもにすぐに答えをあげないようにするのも大切です。トラディショナルな園ではどうしても制作物を終わらせることに重点が置かれますが、レッジョの園では制作物よりも制作の経過を大切にします。なので一日で答えが見つからなくて良いんです、一日で製作物ができなくて良いんです。時間をかけてリサーチをしながら作り上げていきますから私は常にどうすれば子ども達の創造力が膨らむか、そして子ども達の知識を次のレベルに引き上げるにはどうすれば良いかを考えています。アトリエスタとして、休みの日も素材やインスピレーションを探しています。(と話しながら、くみこ先生はカフェにあったワイヤーの置物を指差し、「あ、あれ面白いかな、とか」とおっしゃっていました)

Q:もし今時間ができたら仕事上で実践したいことは何ですか?

もっと子ども達に色々なマテリアルを紹介したい。いくら時間があってもやりたいことは尽きません。もっと多くの素材の使い方を知れば子供達がさらに奥深いものを作り上げていけると思います。

Q:アメリカで幼児教育に携わることで、日本と違う点を教えてください。

まず人数比率が違います。カリフォルニアでは法律により子ども12人に対して先生が1名という比率が決められています。日本と比べるとはるかに先生が高い比率になるかと思います。(補足:ロサンゼルスの主なレッジョの園では生徒4人に対して先生が1名という比率)

あとこれは、日本だけではなくアメリカのトラディッショナルの幼稚園もそうなのですが、例えば子どもがガンの真似をして遊んでいても、「やめなさい」とただ禁止することが多いかと思います。アメリカではガンプレイを禁止とする園が多いです。銃社会なので銃を身近の人が持っていることもあるので、実際に子どもが遊びで真似をするのを禁止し事故の防止をしようという心がけのようです。

レッジョの学校ではもしガンプレイをしている子どもがいたら、「止めなさい」とただいうだけではなく、まずなぜそれをしたいのかを、子どもとの対話や観察を通じてリサーチします。そうしてガンプレイではなく違う方向でその子どもの欲求が満たされるように導きます。例えばその子どもがガンプレイをするのは ”相手の反応が面白いから”とか、”注目が欲しいから” などのことが分かれば、じゃあ違う形でその欲求が満たされるないかを提案します。例えばそこでアトリエにて、ガンではない違う何かを作れるようにマテリアルをセットアップすることができます。このように、レッジョはアートスクールというように見られることがありますが、レッジョにおけるアートは子ども達の表現方法であり、子ども達の知識を次の段階に引き上げるためのサポートマテリアルなのです。ただ何かを禁止するだけではなく、どうしたらこういう遊びから違う遊びに発展させるかをレッジョでは考えるのです。

※ガンプレイの話や戦いごっこからプロジェクトへの展開は、久弥子先生のブログでもっと詳しく読むことができます。

銃社会の幼児教育

戦いごっこからマスク作りへ

マスク作りの続き

Q:レッジョ・アプローチの幼稚園で育った子ども達はトラディショナルの園で育った子ども達と何が違うと思われますか?

よくキンダーガーテンの先生にレッジョ幼稚園出身の子どもはすぐに分かると言われます。質問をたくさんする。問題解決ができる。友達を手伝うなどソーシャルスキルが高い。そしてクリエイティビティが高いと。

Q:趣味は何ですか?

ヨガ、ガーデニング、料理、インテリアを見たりきれいな景色を見たりインスピレーションを探すこと。

Q:今後の夢は何ですか?

多くの子どもにレッジョ・エミリア教育に触れてもらいたいな、と思います。そしてそれには少しでも多くの教育者に知識を持ってもらうこと、保護者たちにも知識をもらってもらうことです。いつでも質問受けます!

Kodomo eduで将来ワークショップ??

「いつでも質問受けます!」と心強いお言葉を頂きました。日本人でここまでのレッジョ・エミリアアプローチへの深い知識と実践経験を併せ持つ教育者の方はなかなかいらっしゃらないのでしょうか。 久弥子先生はカリフォルニアをベースに活動されていますが、Kodomo eduで将来どうにか久弥子先生を日本に招き、子ども達・保護者・教育者へのワークショップを開催したいと思いました。このような先生が日本にもいれば、もっと幼児教育の在り方が変わっていくのではないでしょうか。

Mutsumi Paterson // Los Angeles

ムツミ・パタソン(ロサンゼルス)

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